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2006.11.12

【ウルトラマンメビウス】
「だから、勇気を持って話し合あう事が大切なんだ」

あの「怪獣使いと少年」から35年後の話、です。明らかに"差別"をテーマにした前作に対して、今回は"過去の清算"が可能なのか?という話になっています。当事者感覚だった前作に比べるとテーマがテーマだけに、公正に中立的に描写しようと(テッペイの本音とか)していましたが、その分"キレ"は悪くなってしまった気がします。

 「我々は改めて、命を奪われた同胞の賠償を要求する。」
大陸部の20%を割譲せよというメイツ星人ビオ。んな事できるか!と突っぱねる補佐官(まぁ即答するわな)に対し、「ならばこちらのやり方で」と市街地を攻撃する。何というかどこかの国とどこかの国の問題を下敷きとしているのは明白、なのだが、要求が無茶すぎて説得力に欠ける。あれでは「戦争しに来た」と思われても仕方ないわな。あと、"現実"の問題は戦争なのに対して、ドラマでは一個人の賠償という事を考えれば無茶にも程がある、という事になって感情移入はしづらい。まぁメイツ星では平和な余り、「人の命の重さ」がそこまで大きなものになっているのかも?しれないが。

 「でもせんせい、うちゅうじんでもけがをしたらいたいよ。」
子供と動物には勝てん、というか、ここは余りにストレートでちょっとほろっと来ます。が、これだけで終わる程には甘くない。というか、要らん事を考えてしまったのは、いまどき現実において"知らないおじさん"に話しかける事のリスク、を考えると世の親御さん達はどう思ったのだろう?哀しい話だが。

 「ミライ、何やってる?街が大変な事になってんだぞ!」
この台詞は全く生きていない。なにもサコミズに托鉢僧の格好で出て来いとは言わんが。積極的にメイツ星人側に肩入れしていた郷に対し、中立の立場に立とうとしたミライの立ち位置の差が大きすぎる。この辺りは"セブン型"故の弱点か。いや、「超兵器R1号」とかのようにもうちょっと苦悩させても良かった気がする。やはり、感情移入する先がビオだったりミライだったりリュウだったり、とばらつきすぎて散漫な印象がする。
そういう意味では、上原正三の脚本から感情移入し易いキャラクター(MAT隊員、坂田健、アキ)をオミットしシンプルにした東條昭平の選択は実に正しかったと思う。

 「違う星の人間同士でも心を通わせる事ができるのだ、と教えられたんです。」
おぉ、さすがレッドビッキーズ二代目監督(初代はテッペイの母上)、しかし、佐久間良(おにいさん)はとうとうメイツ星には行けなかったのね。彼があの事件の後、どうやって生きどんな思いで穴を掘り続けていたのか?考えるとやりきれなくなります。でも、「地球にさよならする」と言っていた彼が「おじさんの仲間と握手をする為に」と目的を転嫁させていくに際して、それなりの"成長"をもたらさせたのもメイツ星人のおじさんの愛情、だったのでしょうか?

 「ダメなんだ、もう一度、地球人を信じてみようという気持ちがおこっているのに、すぐに憎しみが止められないんだ!父の事を思うと…どうしても!」
結局、今回の結論はここに行き着きます。理屈では分っても感情が許さない。現実はそんなに甘くない…。女の子のハンカチ一枚で片がつく、よりは遙かに良心的な展開ではあります。安易な"握手"すら先送りにして去っていく辺り、そのストイックさは徹底しています。

あの問題作の"続き"をやろうとしたその意気や良し。ただ、あの触ると切れる研ぎ澄まされたカミソリのような前作を思うと、残念ながらトーンダウンの感は否めません。というか、色々と詰めが甘い。
全体的にビオの"痛み"が今ひとつ(虐殺された父の描写は多いものの)な為、感情移入の度合いが低いのだ。ベタだが「父が死んだ事によって苦労した」とか「私にとっては素晴らしい父だったのに」とか入れても良かった気がする。そこらへんの主張の空虚さまで狙ったのかもしれないが。
終盤、「ビオの憎しみを現すが如く一転俄かに掻き曇り…」とやりたかったのは分るが、どうもそこに行き着くまで、余りにからっと晴れた晴天に違和感がある。見る側は陰鬱だが全編モノトーン的な曇り空でも良かったのでは無いか?あと、音楽。「ノンマルトの使者」"もどき"はいただけない。「スクランブル2006」が使用出来るのだから、 そのまま使っても、あるいはアレンジして使っても支障は無かった筈だ。
厳しい言い方になるが、やはり時代性の違いは感じざるをえない。当の上原正三をして「本音が出すぎて好ましくない」と言わしめた程の前作に対して、当事者かどうかはともかく今回の作り手側にどこまでの"問題意識"があったのか?やはりその差は大きかったと言わざるをえない。
すいません、どうも風邪ひき頭でこちらの文章もピリッとしてませんが、こんなところで。

11/18補足意見を追加しました。こちらからどうぞ。

来週は新マンマイナー怪獣ワースト5常連?(なんだそりゃ)のフェミゴン。結構好きなんですよね「狙われた女」。斉藤麻衣嬢のゲストもうれしい、しかしどんどん美人になってくねこの娘は。

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