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2008.05.23

【ザ☆ウルトラマン】DVD-BOX

再放送の機会も少なく、LD-BOX発売も10年前、下手すりゃこのまま幻と化すかと思われていたTVアニメシリーズとしては唯一の(キッズは別として)ウルトラマン「ザ☆ウルトラマン」のDVD-BOXがやっと発売となった。

当時は裏番組のアニメと掛け持ち視聴していた時期もあった為、30年ぶりどころか今回が初見となるエピソードをもやっと見れるのはうれしい限り。
今のところ18話までと最終回Bパートのみをつまみ食いして見たところ。
撮影に35mmフィルムを使用していたとは初耳(過去には「Q」のみ)ですが、おかげでリマスターを差し引いても特筆物の高画質。音声もクリアで、この時期のサンライズ作品としてはありえない程のクオリティといえる。
悪い悪いと言われていた作画もばらつきはある物の苦になる程では無いし、むしろ情感、力感等は昨今の作品と比べて見劣りしない画も少なくない。反面、当時から指摘されていた、怪獣、ウルトラマンの作画についての巨大感、重量感の不足は残念ながら否めない。これについては作画のみで無く演出や美術の力不足も含めての問題だろう。(因みに数年後葦プロで作られた合作「ウルトラマンUSA」では、特撮世代の羽原信義や佐野浩敏等の参加によってこの辺りはかなり改善されていた)
キャストも実に芸達者が集まっている。富山敬、伊武雅刀の二人にしても"古代とデスラー"を忘れさせる確かな演技だし、兼本新悟、滝口順平、ニシキ先生役の熊倉一雄といったベテラン陣の巧さには舌を巻かされる。加えてアニメ声優経験皆無とはとても思えないトベ役の二瓶正也の違和感の無さ、島本須美も初レギュラーではある物の話数を追って上手くなっていくのが良くわかる。
キャラクターは科特隊をオマージュしたシンプルなシフト(後半のゴンドウキャップは伊吹+荒垣といった感じ)であるが、主人公であるヒカリに敢えて強い個性を与えていないという点については、(ウルトラマンを建てる為の)ハヤタとはまた別の意味合いがある。それが15話で語られるジョーニアスがヒカリを選んだ理由であり、最終回でのヒカリの「誰もが自分の力を信じて戦うべき、誰にも頼ってはならない」なのだ。変身前のヒカリは(設定でこそエリート隊員だが)いつもマルメに「肝心な時に居なくなる」「落ちこぼれ」呼ばわりされる、決して優秀な存在ではない。その彼こそがウルトラマンであるという意味については、歴代のうちでも最も熟考されていると言って良いのではないか?
音楽も宮内國郎、冬木透の共作は(再編集映画以外では)この作品のみで豪華この上ない。(反面、音については効果音の弱さは少々感じさせられる)
脚本はシンプルかつバラエティに富んでいて、ウルトラマンとして初めての原点帰り(後にグレート、パワード、ダイナ等)は、意外にも却ってアニメとなる事によって成功していると言っても良い。ウルトラマンの原点的な魅力、「怪獣の特性によって異変が起き、それに対して知恵を絞って対決していく」事について実にしっかりと作られている。ここまで見た限りでは、ニシキ先生大暴れの5話とシリーズ随一との声もある15話が出色の出来だった。
中盤以降は一転スケールの大きなスペースオペラへと展開していくのは周知の通りだが、これについては、メインライターである吉川惣司の資質が大きい事がライナーノートから知る事ができる。氏のインタビューからはかなり辛辣な言葉はあるもののプロとしての矜持を強く感じさせられた。氏によれば、実写作品に欠けていた部分を描き出した自負もあり、それは15話「君がウルトラマンだ」や最終四部作等に結実している。そして、それが「グレート」、「ティガ」、「メビウス」等に大きな影響を与えたのは詳しい方ならご存じだろう。
また、第一期藤子不二雄ブームを支えた事もある辣腕局PD忠隈昌の功績の大きさは本人と吉川氏のインタビューから知る事ができる。橋本洋二氏同様、今後の研究分析が必要では無いかと思う。(反面、次作80での野村清PDについてはかなりのスタッフが困惑させられた旨が『君はウルトラマン80を愛しているか』で語られている)

ラスト、ジョーニアスは「いつかまた、危機が訪れた時再び地球を訪れる」と言い残して去った。そこまでは、まぁありがちなヒーロー物のお約束的な台詞である。だが、ナレーション(故蟹江栄司氏の名調子が渋い!)はこう付け加える。
「その時、彼と一体となって戦うのは誰だろうか?そう、それはあるいは君かもしれない……!!」これには当時、ぐっと来たのは忘れられません。これを超える"最終回のナレーション"は無いのではないか?未だにそう思ってます。ヒーロー物でありながら最後には「ウルトラマンに頼らず自らの力で戦わなければいけない」という結論に至るのは、ウルトラマンシリーズの定番なのですが、最後の最後までそれが貫かれている(しかも、それは見ている子供達に限りない夢と力を与えてくれる)名ラストなのです。

「アニメだからウルトラマンではない」というのは偏狭な偏見でしかない。
「アニメだからこそ描き得たウルトラマンの本質」もあるのを実見して感じて下さい。6月にはレンタルDVDも出るようなので是非!(でもライナーノートの資料性も高いのでできれば頑張って買うべし!)

ザ☆ウルトラマン ウルトラマンジョーニアス アミア ヒカリ超一郎 星川ムツミ 吉川惣司 二宮常雄 富野由悠季 高橋良輔 宮内國郎 冬木透 ザ・ウルトラマン

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コメント

 ついでの話。
 先刻白書の第二版を調べてみたら、16ミリと書かれていた。

 これって二十九年にして初めて明かされた話じゃないだろか。
 他にも忠隈氏が神田氏の筆名“横山 裕一郎”を利用して“横山 裕二郎”名義で絵コンテを書いたとか。
 実は当方の知る限りテレビ局の人間がアニメの演出を手伝ったと言う話を聞いた事がない。
 それに忠隈氏もこの一作しか関わっていない様子。
 吉川氏の件は『ウルトラマンエイジ』十二号と併せて読むと面白いですよ。


 スパム扱いされたので少し削りました。

 では。

投稿: ZAP01533 | 2008.06.01 04:04

 ちは。

 でしょ、でしょ、でしょ!

 一話で一目惚れしてしまった理由解るでしょ!
 本当に当方これで富山さんのファンになったんだから。
 慥かに雑だった時とか赤い流星マークだった時もあったけど、それを上回る迫力はちゃんとあった。

 こだわりの当方お勧めは二十三話、二十四話、二十五話、そして四十二話。

 二十三話はある意味《ウルトラマンに選ばれなかった男》の話。やや『ダイナ』に応用があったけど。
 ただ、この話…最低視聴率だった…。
 二十四話は説明不要。見どころはビグとそろばん。
((((( ( (ヽ(;^0^)/
 二十五話はイチオシ!ラストの台詞が好き。

 四十二話は…ある意味…怪獣を出して行かなきゃならないって方向を決定づけてしまった話として観て欲しい。
 某同人誌によれば評論家が酷評し、別の某同人誌の投稿でも酷評された代物。
 でもそこまで言われる筋合いはないと思ってる。

 長くなったのでこれにて。
 結局発売前日にいきつけのレコード店で予約して定価購入したZAP01533でした。

投稿: ZAP01533 | 2008.05.29 22:57

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1979年に放映されたウルトラマン初のアニメ作品。M78星雲ではなく、U40の出 [続きを読む]

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