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2010.10.21

【フィギュア17】2話「一緒にいたい人はいますか」

2話予告
「恐ろしい未知の生物、マギュア。自分そっくりの人工生命体少女、ヒカルの出現。突然巻き込まれた出来事に、驚き、戸惑うつばさ。しかし、ヒカルに翻弄されながらも、自分の心が徐々に弾みだすのをつばさは感じていた。この子は、私のなりたい私かもしれない。」

Fg172

2話「一緒にいたい人はいますか」 2001年6月24日放映
 (脚本タイトル「一緒に居てもいいですか?」)
絵コンテ: 矢野博之、高橋ナオヒト 演出:矢野博之
作画監督:沢田正人、斉藤英子、佐藤陵、原将治
ゲスト:店員/水樹旬、中古車屋/平野俊隆、警官/三宅健太

1話では割と「静」だった物語が一気に「動」へと転じていく。
つばさと対照的に動き回り見る物全てが新鮮なヒカル。そして、その存在を隠さなければならないつばさの四苦八苦振りに微笑みながらも、視る側はどんどんストーリーに引きこまれていく。

翌朝、目覚めたつばさ。その傍らには自分と同じ顔形の少女が眠っていた。少女と昨夜の青年は、つばさに事の次第について説明を始めた。青年は宇宙人で、少女は「知能を持った生きた金属」だという。しかも、記憶を共有して心で会話する、と。
 1話で全く説明されなかった分、SF面での設定説明が一気にしわ寄せが来ている訳だが、「なるべくわかりやすく」なっている分説明臭さが感じられない辺りは、米村氏のダイアログの巧さを感じさせる。
 「はじめまして」の次が「おなかすいた~」と来て、朝食の準備をして「みんな座って~」といつの間にか仕切っているヒカル、恐るべし。D.Dは「これが紅茶という物か?」とか早くもその天然ぶりの片鱗を覗かせてるし。パンにかじりつくヒカルからD.Dに視線を移すつばさのなんともいえない困惑した表情もイイ。
 「とにかくとっても離れている」とか「とても危険なモンスター」とか小学生のつばさに説明するのだから当然だが、視ている我々にもとっても「なるべく分かり易くね」な説明は大変ありがたい(笑)
 とかくこういう場合、ワケの分からない用語を引っ張り出して小難しい説明をするのが日本のアニメの常套手段である。それが「らしさ」に貢献する程度で終わってくれれば良いが、中には「分からないとストーリー自体の理解に支障を来しかねない」ケースも少なくない。(筆者にとって一番悪いイメージとして残っているのは「エヴァ」のシンジをサルベージする辺りとか「ウルトラマンガイア」の初期1クール辺りの「量子物理学」云々とか)困った事に、「空想科学実験」のようなしょうもない近視眼知識に振り回されたあげく「小難しい説明=リアル」「整合性が低い作品=駄作」と勘違いする大馬鹿者が多いのも日本のアニメファンの悪い所であり、それに輪を掛けて馬鹿な制作側がそれに振り回されるのは情けないばかりである。閑話休題。
 どうでもいいが、気もそぞろなつばさを後目にヒカルはひたすら食べまくっている(^_^)しかし、朝っぱらからとうもろこし食べるのか、北海道では。
 「えーとね、わたしの事は~……う~ん、そうだ!ヒカルって呼んで!」よもやこの台詞が最後の最後までの伏線になろうとは…誰一人気づかなかったであろう。それに対して「D.D」の根拠の薄弱さたるや…。因みに本編では堂本大介だが米村正二氏の小説版では何故か「段田大介」と演歌歌手か俺は涙を流さないダダッダーな冗談みたいな名前になっていた。何故に?
 「はじめてここがあったかくなる感じ…」のヒカルが良い。ここまでお騒がせなイメージが強いヒカルだが「記憶を共有している」の意味を何より効果的に見せてくれる。
 新一と警官の気さくな会話ぶり、「コーヒー淹れとくから帰りに寄ってってよ」という辺り、都会なら「勤務中だろ」と突っ込まれそうな所だが、田舎ならではの大らかさ、親しみが感じられて結構好き。

宇宙船に戻る為、外に出たD.Dについて行くヒカルとつばさ。見る物全てが初めての物ばかりではしゃぐヒカルに翻弄されるつばさ。
 こっそり出ていくD.Dに吠えるてんまるですが、知らない人に対して吠えているのならお座りしたまま、というのは有りません、これはミスですね。ちなみにてんまるに限らず、アニメの犬というのはやたら吠えますが、実際にあれだけ吠えていたら馬鹿犬です。まぁ、吠えさせないと演出にならないと言う事で仕方ないのでしょうが。
 「花、はな~!」「きれ~!」「はじめてがいっぱ~い!」と喜びまくるヒカル。1話に続いて美術の見せ所である。バックに流れる「Innocent Fields!」、きょとんと見ている鹿、お話の樹…。まさに「舞台が北海道」ならでは!である。因みにお話の樹が有る湖は、美瑛川の上流にカラマツが立ち枯れている所があり、それがモデルと思われる。本編に勝るとも劣らない美しさだが、営林署の管轄内で入るには許可が要るらしい。(注:執筆当時の話、現在は整備されて誰でも見る事ができる。通称、青い池)
 椎名家の今晩のおかずはイカと芋の煮物。北海道だけあって海から離れていても、海産物は結構食卓に上るようです。(で、これがみな美味いと来ているのだ)物音を立てたヒカルを慌ててごまかすのに必死のつばさ。ここのシーンのつばさは表情がくるくる変わってカワイイです。アイスクリームを食べようとして固まるヒカルはさらに…(^_^)ここでスプーンの持ち方が変な辺りも芸が細かいです。
一夜明けてグラスモニターが不要になった物の、髪を染められるは切られるはで受難のD.Dは着実にお笑いキャラとしてステップアップしていく(笑)
 マギュア?によって枯れていく一面の芝桜でAパート終了。因みに芝桜は網走支庁の旧東藻琴村(現:大空町)の物が有名である。美瑛だと小規模ながら街外れの憩ヶ森公園で見る事ができるようだが、野生の芝桜というものは殆ど無いのだそうだ。

地球人に紛れて行動しマギュア対策をする為に、D.Dは行動を開始する。つばさと別れて行動すると言うD.Dに対して、「借りた服を返す」理由をこじつけてヒカルはつばさと共に(旭川の)街に買い物に出る。
 萌野の町は閑散としているが、実際美瑛に行った時もあんな感じでした。信号機が内地の物と同じ!という指摘はよく聞かれます。確かに美瑛の町に有った信号機は縦型をしてましたが、道東でも内地と同じ普通の信号機が無い訳ではない、と言う事を明言しておきます。町に出たD.DはATMの不正操作、無免許運転(きっと免許証も偽造したんだろうな)と悪事三昧。中古車屋のコバプロオートサービスは美術の小林プロダクションから。D.Dとヒカルの待ち合わせ場所は「ケンとメリーの木」か?
 旭川に着いたD.D達ですがいきなり路駐(手前にはパーキングメーターが有るにも関わらず)しかもデパートの搬入口の前、さすが宇宙人非常識だ。場所は多分西武のA館B館の間か?この当時は丸井今井もありましたが閉店してしまいました。
ヒカルに「払っといてね」と服を押しつけられたD.Dに間髪入れず「お買いあげありがとうございます。」とかます女店員はなかなか侮れない。
 おもちゃ売り場で翔君に遭遇!ですが、1話に出ていた事を覚えている筈もなく、ここでの印象は単なるクラスメートAでした。夕陽を見ながら「お別れだね」と語るヒカル。良いシーンなんですが、因みに西武の位置からだと(多分丸井の位置からも)夕陽は見れません。いや、だからイカンという訳ではないです。ドキュメンタリーではないですから、忠実でなければダメという訳では無いですよ。

つばさを送る帰り道、突如D.Dのセンサーがマギュアの活動を関知した。怯えるつばさに「あたしがついてる」というヒカル。D.Dはフィギュアに変身しマギュアに挑むが…
マギュア2号は地中移動型。例えばウルトラ怪獣のような派手な属性を持たせられない中でのデザイン、演出は結構大変だったと思います。「D.D大丈夫かな…」大丈夫じゃありませんでした…(T_T)流石に死んだかと思いましたけどね、こん時は。

予想外に力を得ていたマギュアに倒されてしまうD.D。マギュアはつばさとヒカルに襲いかかってきた。
車内に襲ってきたマギュアに対し、すかさずパワーウィンドウを閉めてしのぐヒカル、前半のはしゃぎっぷりに対して彼女が「戦闘のプロ」である所を垣間見せます。
 「一緒になって戦おう!」と言うものの心が通わない為変身できない…というのは、とかく引き合いに出される特撮「超人バロム1」(1972)でもよく見られた描写ですが、フィギュアの場合はこの時だけ。バロム1の場合、「二人で力を合わせる事」が大きなテーマの一つなので、何度と無くそういうエピソードが有った訳ですが、この作品の場合はそれがテーマな訳ではないですから何度もやる必要はない訳です。触手に捕まり「逃げて!」と叫ぶヒカルに対し声にならないまま首を横に振るつばさ、そして「ヒカルちゃーん!」の叫び。触手に噛みつき(!さすが戦闘のプロだ?)脱するヒカル。
 「つばさちゃん、はじめて名前で呼んでくれたね。」いきなりで何だが、おたくが「おたく」と呼ばれる所以は、相手の事を名前で呼ばず「おたく」と呼ぶから…なのだが、要するに名前を呼ぶ事で相手との距離を縮めるのを恐れる、が故に名前で呼ばずおたくという代名詞で呼ぶ訳だ。こんな例えで申し訳ないが、つばさがヒカルに対して親和感を持って、それでも生来持っている対人恐怖的な部分故「ヒカルちゃん」と言えなかったのだろう。「ヒカルちゃん!」それはヒカルに対する信頼の証明であった。ふたりはフィギュアに変わる!
 そして「Battle of Fire」(female chorus ver.1)のメロディが戦いのゴングを鳴らす。正に「来た!」の一瞬であり本放送時にはホント鳥肌が立ちましたよ!高橋監督は再三、「ヒーロー物的なイメージではない」と言っていたのだが、あくまで「既製のヒーロー物」のイメージでは無い、という事だろう。この手のジャンル作品の音楽において、希にヒロイックなイメージのメロディが全くつかない作品がある。(古い作品だとOVAシリーズ版の「強殖装甲ガイバー」とか、最近だと「仮面ライダー555」等平成ライダーは意図的にやっている)そのなんとも盛り上がらない事よ。食事で言えばフルコースの料理が順番に出てきたらメインディッシュがただのサラダでした、てな感じか。正直、1話を見た時点ではその不安が残っていた。が、この「Battle of Fire」である。これが無くっちゃ何の為のALFEEだか!しかも戦闘シーンに女性コーラスが入るという辺り、実に「分っている」。女性コーラスが入る事によってただ勇ましいだけでない、戦いへの恐怖、哀しみ、ふたりの信頼感をも雄弁に語ってくれているのだ。高橋監督同様、自分もこのメロディを聴いた瞬間「(この作品は)イケル」と思ったのを覚えている。
 後半のエピソードに比べれば、戦闘シーンは短いのだが地中に潜むマギュアには手が出せない→地上に引きずり出す必要→鉄塔→やられた振り→一撃逆転、と単なるどつきあいにならない工夫はちゃんとされている。

心を一つにし、フィギュアになったつばさとヒカル。苦戦しつつもなんとかマギュアを倒す事に成功する。つばさを送って別れようとするD.Dに、つばさはヒカルと一緒にいたい、と訴える。そこに現れた父、英夫は我が娘を見て愕然とする。
 「リベルスにも命があるの…。」自分の運命を予見した訳ではあるまいが、ヒカルの言葉には切ない物がある。
 「はなればなれはいや!ヒカルちゃんと一緒にいたい!」つばさの初めてのはっきりとした意思表示。「ねぇ、いいでしょ!」と繰り返し訴えるヒカル、2回目の叫びが裏返っている辺り、折笠さんの熱演がイイ。そこに現れた英夫であるが、次のカットでは見事に洗脳完了(笑)
 英夫はともかく、いとも簡単に納得している茨城ファミリーもなんつーか…。もっとも、D.Dの「写真を撮る為に居候云々」は、北海道ではそれ程珍しい話でもないようだ。全てが終わったら、記憶操作もそうですが、銀行から掠め取ったお金返してきなさいよD.D!
英夫の記憶を操作し、ヒカルはつばさの双子の妹として、D.Dは英夫の友人堂本大介として共に暮らす事になった。翌朝、萌野小の教室には明るく自己紹介をするヒカルの姿があった。「椎名つばさの妹の椎名ヒカルです、みなさん、よろしくお願いします!」

【キャラクター】
ラストで茨城ファミリーが一堂に会しているが、基本的につばさ対ヒカル、D.Dで話は進んでいく。特に廻りを巻き込みながら引っかき回していくヒカルのパワフルさ、翻弄されまくるD.D、本話は正にこれに尽きる。前述した通り、1話が暗だった分、ヒカルの底抜けな明るさ、カルチャーギャップなおかしさがムード的に挽回して盛り上げている。が、二人ともマギュア出現!となった途端にプロの表情に変わっていく所は見逃してはならない。

【総論】
私見であり、監督が語ったりした訳ではないのだが…。花、樹、魚…溢れる様々な命に初めて触れ感動しまくるヒカル。彼女に手を引っ張られてついていくつばさのきょとんとした表情は、(都会育ちでかつ北海道に対してマイナスイメージの強かった)つばさが特にそういう事を意識した事が無いのを物語っている。北の大地に溢れる生命の息吹、ヒカルという「本来有り得なかった命」、そしてモンスターマギュアの「命」。(さらにはてんまる、牧場の乳牛達)
 「フィギュア17」の舞台が北海道である、という事については、作劇上の理由(※あまり都会的な場所を舞台にしてやるとシンプルにつくれない)、さらには高橋監督の「※それはぼくが好きなだけです」もあるだろう。が、東京という都会では触れる事の無かった”命”と触れ合う事が出来た、それがつばさの成長に欠かせない事であり、ラストの「私、北海道で暮らせて本当に良かった」に昇華して語られている…というのは、深読みしすぎだろうか?
※DVD「フィギュア17」vol.13初回特典「Exceptional Book」高橋監督談

3話予告
「ふたごの姉妹として暮らす事になったつばさとヒカル。
しかし、ヒカルのように明るく積極的になれない自分に、つばさは却って自信を無くしてしまう。
そんな時、新たなマギュアとの戦いが…。
「私たち、二人じゃないと勝てない!」
叫んだヒカルの声がつばさに重くのしかかった…。」
「勇気を出してみませんか」

バンダイチャンネル フィギュア17 1話無料配信中

 

フィギュア17つばさ&ヒカル  高橋ナオヒト 千羽由利子 米村正二 高見沢俊彦 矢島晶子 折笠富美子 小山力也 加藤優子 鶴野恭子 佐藤正道 感想 レビュー 評価 解説

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